【ニュース】神奈川県警の「バイバイ作戦」【浄化作戦】

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横浜市中区の黄金町地区に密集していた違法風俗店を一掃する神奈川県警の「バイバイ作戦」が、11日で10年を迎えた。

 売春宿が軒を連ねていた一角は今やアートイベントが開かれ、文化の発信拠点になろうとしている。地域住民はこの日、「さらに努力を続け、にぎわいのある楽しい街にしていきたい」と決意を新たにした。

 「バイバイ作戦10周年記念式典」はこの日、黄金町地区に近い横浜市西区の市立東小学校で開かれた。地元住民らで作る初黄はつこう・日ノ出町環境浄化推進協議会の主催で約100人が参加。小林光政副会長は、「黄金町地区はかつて、子供の通学路の変更の要望まで出された街だが、今では子供の元気な声が聞こえるようになった」と10年の街の変化を報告した。

 その後、一行は風俗街だった高架下を実際に歩いて防犯パトロール。参加者はおしゃれなアートギャラリーやカフェ、本屋などが立ち並ぶ街並みを興味深く眺めていた。

 最後に黄金町交番で同協議会関係者が、警察官や京急電鉄社長らに感謝状を贈呈。同協議会の伊藤哲夫さんが「愛するこの街が普通の街になるように次の世代へ継承していきたい」などと宣言文を読み上げた。

 ◆違法な風俗街◆

 ピンクの怪しげな照明の下、大勢の派手な化粧をした女性たちが男性を手招きする――。布団が1枚敷けるほどのスペースで、違法な風俗業を行う通称「ちょんの間」。黄金町地区は、ピーク時には250軒もの「ちょんの間」が立ち並ぶ風俗街だった。

 戦後、家も仕事も失った人々が京急線の高架下で売春宿やスナックなどの営業を行ったのが始まりとされる。

 1995年に阪神淡路大震災が発生。京急電鉄は高架の耐震補強工事のため、飲食店街に立ち退きを要請した。高架下から移動した飲食店街は近辺に広がり、2000年頃にはプレハブの売春宿が急増した。

 環境悪化に伴い、転出も増加。地元住民らは、「安心して住める街にしたい」と03年、同協議会を発足。同協議会の谷口安利副会長は「近所に住んでいても、怖くて近寄らなかった。顔見知りの人がだんだん減り、このままではいけないと思った」と話す。

 同協議会は清掃活動や住民らによる防犯パトロールなどで環境改善を図った。 さらに同協議会の要望を受け、県警が05年に歓楽街総合対策推進本部を設置。「バイバイ作戦」をスタートし、黄金町地区の違法飲食店は一掃された。

 伊勢佐木署によると、05~14年で風営法違反や売春防止法違反などで検挙されたのは約280人。現在も風俗街に戻すまいと同署員らが周辺の飲食店街のパトロールを継続している。

 一方、一斉摘発で増加した空き店舗が、ペーパーカンパニーの事務所になるなど新たな犯罪の温床になる可能性も指摘された。

 このため、横浜市は08年から160店あった空き店舗のうち75店舗を借り上げ、黄金町地区でアートイベントの運営などを行うNPO法人「黄金町エリアマネジメントセンター」に空き店舗の運営を委託。同センターが、作家やデザイナーなどに空き店舗を貸し出し、約40店舗がアトリエやスタジオとして活用されている。

 谷口副会長は「これからは商業でも栄える楽しい街にしていきたい」。より良い街へと願う住民たちの活動は続く。(佐藤果林、田上拓明)

ソース:http://www.yomiuri.co.jp/national/20150112-OYT1T50039.html